片頭痛

「初めての頭痛」の場合、先に脳神経外科の受診をおすすめしております

頭の片側が痛い・・・これって片頭痛?

 片頭痛は典型的なタイプがあることがわかっています。それに当てはまらない頭痛は、片頭痛以外の頭痛の可能性を考えます。

 まず片頭痛は、約9割が10代から20代で発症することがわかっています。高年の方が初めて発症することはほとんどありません。もし40代以降の方で初めての(病院を受診するほどの)頭痛を経験した場合、危険な頭痛の可能性がありますので、まずは早急に脳神経外科を受診されることをおすすめします。逆に、20~40歳くらいの女性の方では、症状が片頭痛っぽくなくても片頭痛の可能性を考えます。

 また、いわゆる「片頭痛体質」の方もいます。具体的には、お母さんや姉妹が頭痛持ち、乗り物酔いしやすい、人混みが苦手、寝起きが悪く血圧が低い、光のぎらつきや縞模様に敏感、嘔吐しやすい(自家中毒)、という点が当てはまる方は「片頭痛体質」の可能性があります。

 片頭痛の特徴は一言で言うと「頭痛+感覚過敏」です。音や光やにおいに敏感になるのは、それらを感じる神経が敏感になっているためです。片頭痛といえば「閃輝暗点(せんきあんてん)」というジグザグが見えるのが頭痛発作の前兆、というのが有名ですが、閃輝暗点があるからといって片頭痛ではないこともありますので注意が必要です。また吐き気がするのも内臓感覚が敏感になりすぎるためと考えられます。低気圧で片頭痛が誘発される方もいますが、これは気圧を感じる神経が敏感になっている可能性があります。

 上記のような特徴がいずれも当てはまらず、脳の中を詳しく調べても原因が見当たらない「片側の頭痛」もあります。そのような場合は「首からくる頭痛」の可能性を考えます。

片頭痛はどうして起こるの?

 はっきりとはわかっていませんが、最近では「血管説」と「神経説」という2つの説が有力です。

 「血管説」は、血管の拡張や収縮はさまざまな物質のバランスにより成り立っていますが、そのバランスが崩れると異常に拡張したり収縮したりしてしまい頭痛が起こる、というものです。

 「神経説」は、脳にある神経や、頭部の感覚を担当している「三叉神経」が不具合を起こして痛みに敏感な状態になってしまい頭痛が起こる、というものです。

飲み薬が効かなくなってきました・・・ほかに治療はありますか?

 近年、片頭痛の予防に適応のある注射薬が使えるようになりました。当院では行っておりませんが、ご希望の方は治療が可能な病院をご紹介します。

 また、ペインクリニックでは星状神経節ブロックが一般に行われます。頭痛発作のないときに行うことで、交感神経の機能が正常化し、血管の異常な収縮・拡張が抑制されると考えられています。

片頭痛に漢方薬って効くの?

 一般に片頭痛によく使われるのは「呉茱萸湯(ゴシュユトウ)」です。これはとても苦い漢方薬なのですが、不思議なことに「平気で飲めます」とおっしゃる方も多いです。

 「五苓散(ゴレイサン)」も片頭痛に使われることが多い漢方薬です。主に低気圧と関連する片頭痛に使われています。

 その他、「川芎(センキュウ)」という生薬が片頭痛に有効らしい、という報告もあります(Phytother Res. 2022)。川芎が入っている漢方薬は「当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)」、「川芎茶調散(センキュウチャチョウサン)」などたくさんあり、そのうち頭痛に対して使われるものもいくつかあります。また、体質の偏りがありそうな場合には、それに応じた漢方薬を併用します。

 いずれも通常の治療と併用できますので、漢方治療をご希望の場合は、お近くの漢方専門医のいる医療機関の受診をおすすめします。