*「初めての頭痛」の場合、先に脳神経外科の受診をおすすめしております
- 緊張型頭痛はどうして起こる?
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頭やこめかみや首の筋肉が痛みに敏感になっている、筋肉が緊張して痛みを感じている、脳が痛みに敏感になっている、などが原因として考えられています。首を下に向けてスマホやタブレット、PC作業を長時間していると、重い頭を支える首の後ろの筋肉に負担がかかり、肩こりや緊張型頭痛の原因になります。
また、肥満の方、運動不足の方、喫煙される方は、緊張型頭痛になりやすいといわれています。
- 緊張型頭痛と片頭痛のちがいは?
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緊張型頭痛はしめつけ感や圧迫感が頭の両側に起こることが多く、ズキズキする頭痛や感覚過敏は少ないといわれています。筋肉の緊張が原因の一つです。後頭神経痛という首の後ろで神経が圧迫されて後頭部に痛みが出る頭痛の一種が合併することもあります。
一方、片頭痛は、ズキズキする頭痛が頭の片側に起こることが多く、吐き気や嘔吐を伴い、音や光に敏感になり「静かな部屋で寝ていたいような頭痛」が典型的です。また、「月に何回頭痛がある」というように、数えられる頭痛という特徴もあります。
ただ実際には、緊張型頭痛と片頭痛は合併していることも多く、治療も一部共通しています。
- 頭痛薬が効かなくなってきました・・・
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まず頭痛が緊張型頭痛だけなのかどうかを考えます。片頭痛を合併していると考えられる場合には片頭痛用の薬が有効なことがあります。副鼻腔炎などのほかの病気が原因で頭痛が起こっている場合もあります。また、頭痛薬を使いすぎて逆に頭痛が悪化してしまっている場合もあります。
緊張型頭痛が主な原因と考えられる場合は、神経ブロックの治療を行います。筋肉を押して痛みが出る部分への注射(トリガーポイント注射、ハイドロリリース)や、交感神経をブロックして首肩の筋肉の緊張をやわらげて血流を改善する星状神経節ブロック、後頭部の痛みをやわらげる後頭神経ブロックなどを行います。治療の効果を高めるために、光線療法や電気刺激療法を併用することもあります。
運動不足も緊張型頭痛を悪化させますので、適度な運動もおすすめです。また、仕事中の姿勢などの影響で首の筋肉に負担がかかっている場合は、ふだんの姿勢を改善することが緊張型頭痛の改善にも役立ちます。肩回りの筋肉のストレッチも有効なことがあります。
- 緊張型頭痛の漢方治療は?
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頭痛に使う漢方薬の中で一番有名なのは「葛根湯(かっこんとう)」です。首の後ろの筋肉がこわばっていて、温めると楽になる感じがある場合には葛根湯の効果が期待できます。1日3回飲んでもいいのですが、最初は症状が強いときに頓服的に飲んでみることをおすすめします。葛根湯が効きそうな頭痛だけど葛根湯を飲むと胃が痛くなったり血圧が上がったりするという方には「桂枝加葛根湯(けいしかかっこんとう)」がおすすめです。「桂枝加葛根湯」は葛根湯に含まれる「麻黄」という生薬を抜いた漢方薬で、麻黄に敏感な方にはこちらを使います。
頭痛は昔から人々を悩ませてきたようで、頭痛向けの漢方薬もこれまでたくさん開発されてきました。保険適応のある漢方エキス製剤の中で、頭痛に適応のあるものは全部で30種類近くあります。そのうち、緊張型頭痛に対して頭痛薬のように頓服的に飲むのに向いているのは、葛根湯、呉茱萸湯(ごしゅゆとう)、川芎茶調散(せんきゅうちゃちょうさん)の3つです。呉茱萸湯は片頭痛の漢方薬というイメージがありますが、緊張型頭痛にも効果があったという報告があります。また、川芎茶調散もさまざまな頭痛・顔面の痛みに使われています。
いずれも通常の治療と併用することができますので、お近くの漢方専門医のいる医療機関の受診をおすすめします。