三叉神経痛

顔が痛くて三叉神経痛じゃないかと思うのですが・・・

 顔の痛みは三叉神経痛の他にも特発性口腔顔面痛(非定型顔面痛)や副鼻腔炎、片頭痛、頸椎由来の痛み(大後頭神経三叉神経症候群)などさまざまな原因が隠れていることがあります。痛みの性質やきっかけ、診察や画像検査の結果、薬や神経ブロックの効果などを考慮して診断を確定します。

 いわゆる「三叉神経痛」にもいくつかの種類があります。種類によって有効な治療が変わってきますので、通常は脳のMRIの検査を行って原因を調べます。

 ①典型的三叉神経痛脳の血管が神経を圧迫することが原因で起こります。鼻から上唇、下唇の痛みが多いです。ほとんどの場合は片側ですが、まれに両側に起こることがあります。

 ②二次性三叉神経痛脳の病気(多発性硬化症や脳腫瘍など)が原因で起こります。顔の感覚がにぶい等の症状をともなうことが多いです。

 ③特発性三叉神経痛:MRIで神経痛の原因が見つからない場合です。症状がない期間にはまったくの無症状という特徴があります。

 ④有痛性三叉神経ニューロパチー帯状疱疹や歯科治療などの影響で神経が傷ついた場合です。持続的で、焼けつくような・絞られるような痛みが多いです。

 これらのうち、①②③が一般的に「三叉神経痛」と呼ばれています。④も顔の痛みという点では三叉神経痛に似ているのですが、神経障害性疼痛(神経が傷ついたことによる痛み)が三叉神経に起こった状態ですので、①②③とは治療もやや異なります。

三叉神経痛の特効薬があると言われて薬を飲みましたが、副作用で続けられませんでした、、

 ①の典型的三叉神経痛の治療は大きく分けて4通りあります。
(1)飲み薬
(2)神経ブロック
(3)手術
(4)γ(ガンマ)ナイフ

 三叉神経痛に対してよく使われる飲み薬は、特効薬のように効くことが多いのですが、効果が不十分だったり副作用で続けられなかったりすることがあります。そのような場合、次の治療として神経ブロック治療を検討します。神経ブロックが一時的にでも効果があればその神経の三叉神経痛といえる、という診断としての意味もあります。また、神経ブロックで効果が一時的な場合には、長期間の効果を期待して「高周波熱凝固」という治療を行うこともあります。

三叉神経痛の漢方治療は?

 「三叉神経痛」の適応を持つ漢方薬はありませんが、漢方単独あるいは他の治療と併用して効果がみられたという報告はあります。他の治療でうまくいかない場合や、神経ブロックや手術を避けたいという場合には、三叉神経痛に対して経験的に使用されてきた漢方薬を試してみることがあります。

 通常の治療と併用することができますので、お近くの漢方専門医のいる医療機関の受診をおすすめします。