ぎっくり腰

ぎっくり腰になりました・・・どうしたらいいですか?

 まずは安静にしていただくことが必要です。痛みが出る姿勢を避けて、コルセットや腰痛ベルトがあれば装着してください。痛み止めがお手元にあれば、早めに飲んでいただくことをおすすめします。

 とくに初回のぎっくり腰の場合や、症状が強く歩くのもやっとという方は、多少動けるようになったら、早めに整形外科で検査を受けていただくことをおすすめします。背骨の骨折や腰椎椎間板ヘルニアがぎっくり腰の原因になっていることがあるためです。背骨や椎間板に原因があるかどうかは、整形外科でレントゲンやMRIの検査を受けていただくとわかることが多いです。整形外科に行く前に当院にいらした方には、診察し原因をある程度絞り込んだうえで適切と思われる治療を行います。内服薬やブロック注射で痛みが徐々におさまっていくことが多いですが、痛みがなかなか改善しない場合には整形外科の受診をおすすめすることもあります。

ぎっくり腰はどうしてなるの?

 前かがみで重い物を持ち上げたり、腰を急激にひねったり、くしゃみをしたりすることをきっかけに腰に痛みが出ることが多いです。多くは椎間関節(ついかんかんせつ)という背骨と背骨のつなぎ目の部分や、椎間板(ついかんばん)、仙腸関節(せんちょうかんせつ)、筋膜(きんまく)などに炎症が起こり痛みが発生しますが、骨がもろくなっている場合は背骨の骨折が痛みの原因になることがあります。また、はっきりとしたきっかけがなくても、ほんのちょっとした体勢の影響で発症してしまうこともあります。腰の神経が刺激を受けてしまうと、腰まわりの筋肉もうまく動かせなくなり、動きも固くなってしまいます。

 ただし、ぎっくり腰の原因が腰にないこともあります。内臓の病気(子宮外妊娠、尿管結石など)や血管の病気(腹部大動脈瘤など)、皮膚の病気(帯状疱疹など)が痛みの原因となっている場合もあります。そのような病気が疑われる場合は詳しい検査や速やかな治療が必要です。

病院でレントゲンやMRIの検査を受けて「様子を見ましょう」と言われましたが、痛みが強くて困っています・・・

 椎間板ヘルニアが飛び出たことによる腰下肢痛・ぎっくり腰の場合は、通常はMRIで飛び出たヘルニアがはっきりと映ります。その場合、痛みの原因となっている場所に神経ブロック等の治療を1回~数回行うことで、痛みやしびれを緩和できることが多いです。ただ、椎間関節や仙腸関節、筋膜などが原因のぎっくり腰の場合は、画像検査でははっきりとした異常が現れないことがあります。さらに、MRI画像で椎間板がそれほど飛び出ていなくても、椎間板の近くにある神経(洞神経)が刺激されると強い腰痛が出てしまうこともあります。

 画像検査で異常がなくても、身体診察で原因をある程度絞り込むことができることもあります。原因の見当がつけば、エコーやレントゲンを用いてピンポイントに治療を行うことで、症状を改善できる可能性があります。狭い範囲の神経ブロックを行った後に痛みが大幅に緩和した場合は、そこが痛みの主な原因だったということが推定できます。

ぎっくり腰の漢方治療は?

 ぎっくり腰は原因によらず腰の筋肉に影響が出ますので、急に起こる筋肉痛に適応のある「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」が一般的に用いられます。その他にも筋肉痛や腰痛に適応のある漢方薬が多数ありますので、神経ブロックや飲み薬に加えて漢方薬を使うこともあります。

またぎっくり腰を起こさないようにするには?

 ぎっくり腰は無理な姿勢で起こることが多いので、それを避けていただくのが大切です。背骨を急に曲げたり反ったりひねったりすると、椎間板や椎間関節、仙腸関節といったぎっくり腰の原因になる部分に負担がかかってしまいます。重いものをもつのは控えていただき、もし何かを運ぶ際には前かがみにならないように背骨はまっすぐのままにして、体の近くで荷物を持ち、股関節や膝関節を曲げて物を上げ下ろしすることをおすすめします。背骨と違って股関節や膝関節は曲げるのに適した形になっていますが、それらの関節が固くて十分に曲げられなかったり、太ももの筋肉が弱かったりすると、結果として腰に負担がかかる姿勢になってしまいます。そのため、普段から膝関節・股関節をストレッチで柔らかくしたり、スクワットなどで太ももの筋肉をきたえることも大切です

 ただ、どんなに気をつけていてもちょっとしたことで再びぎっくり腰を起こしてしまうことはあります。その場合はなるべく早めに手持ちの痛み止めを飲んで安静にしていただき、痛みが残っていればお早めにお近くのペインクリニックを受診することをおすすめします。