動注治療 Q&A

動注治療って?

 「動注」(どうちゅう)とは動脈注射の略です。血管は「動脈(どうみゃく)」と「静脈(じょうみゃく)」と「毛細血管」の3種類に大きく分けられます。心臓から出ていく血液を運ぶ血管が動脈で、心臓に帰ってくる血液を運ぶ血管が静脈です。ふつう点滴をしたり採血をしたりするのは「静脈」のほうですが、治療のために「動脈」のほうに注射することを「動注」といいます。動注治療は動脈の中に点滴の針を入れて治療薬を注射する治療のことをいいます。

この治療は、オクノクリニックの奥野先生によって2014年に開発されたものです。
当院はオクノクリニックとライセンス契約を結び、動注治療を行なっております。

動注治療はどういう効果があるの?

動注治療には、もやもや血管による痛みを緩和する効果があります。

動注治療は動脈に粒子状の物質を入れる治療です。粒子状の物質を動脈に入れると、その部分より先の手足の部分に粒子状物質が広く分布します。動脈は手足の先に向けてだんだん細くなるので、あるところ(粒子の直径>血管の直径となるところ)で粒子状物質が動脈のあちこちに詰まります。詰まったままだと酸素がいかなくなってしまうのですが、正常な血管では血管が開く反応などが起こり、数分間で詰まりが解消されます。一方で、痛みの原因になる異常な血管(もやもや血管)では血管が開く反応が起こらず、詰まったままになり異常な血管が消えてなくなります。痛みを起こしている異常な血管をなくすことで、その血管が原因となり出現した痛みを改善する、というのが動注治療の効果です。

なお、動注治療には関節変形を元に戻す効果はありません。例えば、「関節変形が進んでいるけれど痛みはそれほどでもない」という方には、動注治療をおすすめしておりません。しかし、もやもや血管による炎症は軽減できるため、炎症による組織破壊の進行を軽減することはできると考えられています。

もやもや血管って?

もやもや血管とは、正常な血管とは異なり、細くて、曲がりくねっていて、いびつな形をした血管のことです。慢性的な炎症がある場所にできる異常な毛細血管で、

ヘバーデン結節でもやもや血管ができるのはどうして?

完全には解明されていませんが、以下のような説が考えられています。

血流障害ヘバーデン結節では、関節軟骨の損傷により血流が悪くなります。これにより炎症が起こり、血管新生が促されます。血管新生によってできた血管は、正常な血管とは異なり、細く、曲がりくねった、いびつな形状をしています。これが、ヘバーデン結節の痛みの原因となるもやもや血管と考えられています。

ホルモンの影響ヘバーデン結節は女性に多い病気であるため、女性ホルモンの影響が考えられています。女性ホルモンは血管の拡張や血流の促進に関係していますが、女性ホルモンの分泌量が減ることで、血流障害が起こり、もやもや血管ができると考えられています。

遺伝ヘバーデン結節は、家族歴のある人が多く、遺伝の関与が考えられています。ヘバーデン結節の原因となる遺伝子はまだ特定されていませんが、関節軟骨の形成や血管新生に関与する遺伝子が関係していると考えられています。

もやもや血管があるとどうして痛みが出るの?

下記のような理由が考えられています。

血管新生:もやもや血管は、細く、曲がりくねった、いびつな形をしているため、血流が悪くなりやすく、また軽い刺激によって炎症を起こしやすいと考えられています。炎症が起こるとその部分で痛み物質(プロスタグランジンやブラジキニンなど)が放出され、神経が痛みを感じやすい状況になり、痛みを感じてしまいます。

神経増殖:もやもや血管ができるときには、同時にその周りに神経も新生・増殖します。もやもや血管によって血流が悪くなると、周りの神経が刺激されて痛みを感じてしまいます。

もちろん、もやもや血管がすべての痛みに関係しているというわけではありません。しかし、もやもや血管が痛みに関係していることが多い疾患や、動注治療でもやもや血管を治療することで痛みが改善することが多い疾患というものが経験的に分かっています。それらの疾患による痛みの場合は、動注治療が痛みの改善に有効なことがあります。

どういう痛みに動注治療の適応がありますか?

動注治療は様々な手足の痛みの原因になる疾患に適応がありますが、現在、当院では下記の疾患に対して動注治療を行っております。なお、動注治療は健康保険の適応外となります。

手(片側25000円+税、両側35000円+税)

・ヘバーデン結節、ブシャール結節
・母指CM関節症

足(片側30000円+税、両側40000円+税)

・足底腱膜炎
・外反母趾